米沢織の魅力大解剖 vol.3『近賢織物』

角帯の製織を主軸に米沢で栄えた
160年以上の歴史を誇る近賢織物

近賢織物のメイン画像

男女問わず支持される
時代に調和した織物

織組織にこだわった、豊富な品種とデザインの帯に定評がある米沢織の老舗・近賢織物。そのルーツは、1860年(万延元年)にまで遡ります。米沢は昔から、袴や男物の帯の生産が盛んな地域でした。近賢織物の初代・近藤金太郎氏は、現在の群馬県桐生市から織物技術者として招聘され、節糸織を開発した人物。その後、1900年に米沢で創業し、1965年に近賢織物有限会社を設立しました。現在、5代目の近藤哲夫さんが、時代やニーズに合わせた新製品を精力的に開発し、美しい織りで魅せる帯や着物生地を展開。長い歴史の中で受け継がれてきた優れた技術で生み出される絹製品は、男女問わず支持されています。

近賢織物の工房

2002年に社長に就任した近藤さん。当時は、製造する帯の98%が角帯だったといいます。
「昔は、コートやシルクウールの着物も織っていましたけど、親父の代で角帯をメインに展開しました。当時は、角帯の需要が非常に高く、工房にあった幅広の織機は全て小幅にして、最大で45cmの生地幅しか織れないようにし、効率重視でとにかくたくさんの角帯を織りました。昔、特に北陸や名古屋は、角帯が結納返しや引き出物として選ばれていたことも背景にありますね」。

近賢織物の角帯

織、糸、色にこだわり
独特の風合いで近賢らしさを演出

現在は、角帯だけでなく、女性ものの着物や帯も手がけ、フルアイテムが揃う近賢織物ですが、その展開きっかけは、著名なデザイナーとのコラボレーションで半幅帯の製造を依頼されたことにありました。
「半幅帯ができるなら、八寸帯もできるだろうと思ったのがきっかけですね。滑らかな手触りの帯ではなく、あえて凹凸がでるような糸を使い、テクスチャーのある変わった帯をつくってみようと研究しました」。

近賢織物の四寸帯

近賢織物が手がける八寸帯の約半分は、経糸は絹、緯糸は和紙で織られたもの。絹の高貴な光沢と民芸的な和紙の味わいが融合し、特に紬との相性は抜群。もちろん、おしゃれ着物などにも幅広く合わせられ、独特な風合いと、特徴のあるデザインが「近賢らしい」と人気を博しています。

近賢織物の八寸帯

「和紙は織り込まれると丈夫になり、何より軽いのに締めると張りが出ます。吸湿性、通気性が良く、蒸れない利点もあります。和紙との組み合わせで様々な八寸帯をつくっていくうちに、『袋帯もできるのでは?』『それに合わせる着物もつくってみよう』となり、フォーマルでお召しいただけるラメ入りの生地や、あえてセリシンを残し、麻っぽいシャリ感を出した夏着物など、今ではフルアイテムでお客様にご紹介できるようになりました」。

近賢織物の着物

素材や組織を徹底研究し
西陣織、博多織と差別化

「これが爆発的に売れた帯」といって、近藤さんが実際に付けて見せてくださったのが、紐で結ぶタイプの角帯。もともとは僧侶の袴下帯として別注を受けていたものをアレンジしたもので、帯の両端に編み込んだ紐がついており、帯を巻いたら無造作に結ぶだけで様になる角帯です。その日の気分やスタイルに合わせて、結ぶ位置を自由に変えることもでき、その手軽さも人気の理由だとか。

近賢織物の社長・近藤哲夫さん

「帯の種類だけで30品種あり、それぞれに5配色は展開しているので、たぶん、世界で一番種類数を揃えている織元だと思います(笑)。世の中には、様々な組織があり、ネクタイや壁紙を眺めては、『これは、帯の織りに使えないか?』と常に考えています。帯といえば、西陣織は多色で美しい世界観を表現し、博多織もまた独自の伝統技法をもっていらっしゃる。正直、僕らはそれには敵わない。だから、素材で差別化しようと懸命に取り組んでいます」。

近賢織物の素材


近藤さんは、米沢織繊維協議会の会長も務められ、米沢織のさらなる発展のため、日々尽力されています。
「米沢織の魅力を伝えるには、展示会などでお客様に商品に触れていただくことも大切ですが、実際に織っている職人さんたちの姿を見ていただくことが一番です。今、米沢で頑張っている機屋さんには、なるべく工場をキレイに整えて、見学を積極的に受け入れていただくようにしてもらっています」。

近賢織物の見学対応

2023年で131周年を迎える米沢繊維協議会は、「米沢織きものグランプリ」「きもの街あるき特典」「きものフォトコンテスト」など、街を挙げて米沢織を盛り上げるイベントを企画・開催しています。工場見学やイベントの参加で現地を探訪し、米沢織の魅力を肌で感じてみてはいかがでしょうか。
米沢繊維協議会ホームページ

近賢織物のフルラインナップ

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取材協力/近賢織物
山形県米沢市城南3-1-48
TEL:0238-23-0775
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