麗し着物日和 vol.7 『オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー 代官山本店』<東京>

着物姿が映える日本各地のとっておきの場所をご紹介する道中記。第7回は、和装に合う香りを求め、自然素材の美容製品を扱う1803年にフランスで創業した「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー 代官山本店」を訪ねました。

1803年にフランス・パリで創業した総合美容専門店「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー 」。”香水と香り酢の魔術師”と呼ばれた調香師・ジャン=ヴァンサン・ビュリー氏は、自然素材を重視した香水やスキンケアなど、上質で革新的な製品を生み出し、ヨーロッパ中の人々を魅了しました。
代官山本店は、海外における初の直営店として2017年4月にオープン。現在、東京、京都、大阪、名古屋などで18店舗を展開しています。

ブランドの象徴でもある世界初の水性香水「オー・トリプル」は、アルコールやエタノールを一切使わず、自然由来の香りを最大限に活かしたもの。世界を旅してきた記憶を複雑な調香で表現し、多面性のある豊かな香りを堪能できます。アルコールが含まれている香水は、トップノート、ミドルノート、ベースノートと、アルコールの揮発により香りが変化しますが、水性香水は、つけたときの優しく柔らかい香りが持続するのが特徴でもあります。

「オー・トリプル」の香りは22種類。その中から、お着物に合う香りとして白檀を使った『アル・カシール』をおすすめいただきました。白檀、サンダルウッド、カルダモンを組み合わせたエキゾチックで重厚なウッディな香りは、多様な文化が織り成すアラビアの地を想起させ、優美さと気品を感じさせます。
テスターもユニークで、ポンプを押し、理化学用のガラス瓶から香りを確認するという遊び心があふれるものになっています。

「オー・トリプル」と同じ香りのラインナップで揃うボディオイル「ユイル・アンティーク」は、入浴やシャワーの後、濡れたままの肌にマッサージするように伸ばして使用するベタつきのないオイルです。この手法は、古代ギリシャの医療や美容法で、オイルの浸透力を高めるために実践されていたそう。着物は、うなじや手首など、素肌が人目に触れることも多いので、肌に保湿と艶を与えてくれるアイテムは必要不可欠です。

世界中の植物や果実を低温圧搾や浸漬方法など丁寧な製法で作られた植物オイルも人気です。注目は、五島列島の上質な椿を使用した「カメリアシードオイル」。収穫した椿の種子を熟練の職人が玉じめ方式で優しく蒸してから丁寧に搾油しています。髪に潤いを与える椿油。和髪の美しさは面の艶にあることから、「カメリアシードオイル」で結い上げることで、美しい和装ヘアが叶うことでしょう。

ギフトにも喜ばれる「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」のアイテムたち。特筆すべきは、美しいカリグラフィーのサービスです。スタッフの方が、その場で相手の名前をカリグラフィーで書いてくださいます。スペシャル感溢れるギフトは、きっと喜ばれることでしょう。

また、イニシャルを刻印してパーソナライズすることも可能。刻印ができるのは、櫛、ブラシ、歯ブラシなどのアイテムおよびリップバームで、オリジナルの書体5種の中から、好みのイニシャルデザインを選べます。

芸術的な店内の空間はもちろん、パッケージやスタッフのユニフォーム、そしてカリグラフィーというサービスに至るまで、「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」が紡いできた伝統と誇りが、卓越した美意識が宿るデザインで表現されています。その仕掛け人は、ファウンダーでもあるBulyのブランドディレクターで美容家のヴィクトワール・ド・タイヤックと、アーティスティック・ディレクターのラムダン・トゥアミ氏夫妻。二人は、当時から伝わる製法を継承しつつ、物語のある美しい内装やパッケージデザインで、グローバルブランドに成長させました。親日家である夫妻は、日本進出に向けて家族で東京に移住し、旗艦店としてふさわしい店舗物件を自ら探したといいます。

まるで合成写真のような、左右で全く雰囲気が異なる店舗デザインもラムダン氏のディレクションによるもの。右側は、1803年のパリの薬局をイメージし、重厚感のあるウォルナットのキャビネットやテラコッタの床、大理石が用いられています。風格のある棚扉の彫刻も当時を再現するため、フランスの熟練の職人が作り上げ、日本に輸送したそう。そして左側は、フィーチャリズム溢れる東京と研究室の雰囲気を無機質なコンクリートやガラスで表現しています。実は、照明も分かれていて、右側は落ち着いた温かみのある色、左側は青味のある昼光色で照らすという徹底したこだわり。そして、この全く異なる空間が繋がって見えるよう、店内中央には日本の伝統的な”金継ぎ”の技法を模して、光沢のあるラインが配されています。

ビュリー氏が遺した美の遺産は、時を超えて進化とともに受け継がれ、世界中の人々に喜びをもたらしています。伝統と革新。それは着物文化も同じこと。いにしえより伝承される技は、向上と発展を経て、至高の美を紡いでいます。”美”を追求し続ける二つの精神に親和性を感じながら、この上なく崇高な香りを纏う贅沢を楽しんでみてはいかがでしょうか。


オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー
代官山本店
東京都渋谷区恵比寿西1-25-9
TEL:03-6712-7694
<営業時間>
11:00~20:00
<定休日>
不定休
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