特設展 それぞれの源氏物語

会期| 2023年10月28日(土)~12月17日(日)
会場|山梨県立文学館(山梨県甲府市)

与謝野晶⼦『新訳源⽒物語 』
上巻 1912(明治45)年6⽉7版・中巻 1912(明治45)年7⽉再版・下巻⼀ 1913(⼤正2)年8⽉・
下巻⼆ 1913(⼤正2)年11⽉ ⾦尾⽂淵堂 装幀・挿絵 中澤弘光
⼭梨⼤学附属図書館近代⽂学⽂庫蔵

2024年放送の大河ドラマ「光る君へ」で、紫式部の人生が描かれることから、改めて注目を集めている「源氏物語」。今から約1000年前に紫式部が書いた「源氏物語」は、光源氏を主人公に全54巻にもおよぶ壮大なストーリーが展開し、世界最古の⻑編⼩説といわれています。「源氏物語」は、後世の⽂学はもちろん、美術にも多⼤な影響を与え、時代を超えて⼈々を惹きつけてきました。
本展では、与謝野晶⼦、⾕崎潤⼀郎、円地⽂⼦、瀬⼾内寂聴、林真理⼦など、近代以降、多くの作家が挑んだ「源⽒物語」の現代語訳を、その魅⼒とともに紹介しています。また、関連イベントも充実し、「源氏物語」の世界に浸ることができる展覧会をぜひ、お楽しみください。

樋口⼀葉は、歌塾・萩の舎で「源⽒物語」を講義し、「⾬夜の品定め」などを得意としました。「源⽒物語」をはじめとする王朝⽂学は、⼀葉の初期の⼩説のモチーフとなっています

樋⼝⼀葉 旧蔵書
北村季吟(きぎん)『湖⽉抄』(こげつしょう) 山梨県立文学館蔵

谷崎潤一郎は、1935年9月に「源氏物語」現代語訳にとりかかり、『潤一郎訳源氏物語』を刊行しますが、時局の影響で削除や改変を強いられました。戦後、全面的に改稿し、「新訳」「新々訳」として現代語訳を発表しました。

谷崎潤一郎「奥書」原稿
『潤一郎訳源氏物語』巻二十六(1941年7月 中央公論社)収録 山梨県立文学館蔵

戦後の女流文壇の第一人者である円地文子は、「源⽒物語」現代語訳に5年近くかけて取り組み、全10巻(1971年〜1973年 新潮社)を刊⾏。序⽂には「現代の読者に出来るだけ気難かしくない⾔葉で語りかけたい」とあります。

円地⽂⼦「源⽒物語」桐壺 原稿 個⼈蔵

登場⼈物のひとりである六条御息所を語り⼿に、「源⽒物語」の章⽴てを⼤胆に変えて物語を再構築した林真理⼦の『六条御息所 源⽒がたり』。⼤⻑編の恋愛⼩説を現代的によみがえらせた作品です。

林真理⼦『六条御息所 源⽒がたり』
⼀、光の章・⼆、華の章・三、空の章
2010(平成22)年4⽉・2011年4⽉・2012年10⽉ ⼩学館
装幀 ⽊村祐治・⾦⽥⼀亜弥(⽊村デザイン事務所)

ほかにも、主な展示資料として、下記の作品がご覧いただけます。
・与謝野晶⼦ 「源⽒物語礼讃」巻⼦ 当館寄託資料
・芥川⿓之介 「⽂藝的な、余りに⽂藝的な」「三⼗七 古典」草稿
・⾕崎潤⼀郎 ⽯井秀平宛書簡
・⾕崎潤⼀郎「いしだんをかぞへて登る⼄⼥⼦の袖にちりくるやまざくらかな」⾊紙
・⽥辺聖⼦『新源⽒物語』全5巻 1978〜1979年 新潮社
・瀬⼾内寂聴『源⽒物語』全10巻 1996年〜1998年 講談社

関連イベント情報
◆ 講演会 『源⽒物語』その⾯⽩さの秘密
11⽉11⽇(⼟)午後1時30分〜午後3時
講師:林 望(作家・国⽂学者)
会場:講堂 定員500名 無料
*電話またはホームページの「イベント」欄の申込みフォームからお申込みください。
先着順で定員になり次第締切となります。

◆ 講演会 樋⼝⼀葉の和歌と『源⽒物語』
12⽉9⽇(⼟)午後1時30分〜午後3時
講師:兵藤裕⼰(学習院⼤学名誉教授)
会場:講堂 定員250名 無料
*電話またはホームページの「イベント」欄の申込みフォームからお申込みください。
先着順で定員になり次第締切となります。

◆ワークショップ「つまみ細⼯で和洋装に合うコサージュを作ろう」
12⽉17⽇(⽇)午後1時30分〜午後3時30分
講師:飯島 薫(つまみ細⼯作家)
会場:研修室 定員:20名(⼩学⽣以上) 材料費:500円
*11⽉1⽇(⽔)よりお電話でお申込ください。

特設展 それぞれの源氏物語

会期 2023年10月28日(土)~12月17日(日)
会場 ⼭梨県⽴⽂学館・展⽰室C
山梨県甲府市貢川1-5-35
会館時間 9:00~17:00(入室は閉館の30分前まで)
休館日 月曜、11月21日(火)
*但し、11月20日は開館
観覧料 一 般 330円
大学生 220円
*65歳以上の方は無料。
*高校生以下の児童・生徒は無料。
*障害者手帳を持参の方、およびその介護をされる方は無料。
お問合せ 055-235-8080
公式HP 特設展 それぞれの源氏物語

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