東京手描友禅/東京都

東京手描友禅

読み・とうきょうてがきゆうぜん
産地・東京都

東京手描友禅は、東京で染められている友禅染をさします。京友禅や加賀友禅とともに日本三大友禅の一つとされており、「江戸友禅」とも呼ばれています。江戸時代の町人文化の粋や侘びの影響を受けて発展したことから、多色多彩で華やかな京友禅に対して、渋く抑えた色調が特徴的です。京都で誕生した友禅染めは、まず加賀に伝わり、その後江戸に伝わりますが、それぞれ時代背景や地域の影響を受け独自の友禅染となりました。ただ、江戸に伝わった理由には諸説あり、上方から江戸に文化の中心が移っていった1804~1829年に、江戸にいた職人らが、移り住んできた大名のお抱え絵師らに技術を学び、成熟させたのが始まりだという説や、桂昌院によばれた京都の友禅職人が考案したという説などあります。江戸は武家中心の文化だったことにより、余白部分の多いすっきりとした構図で柄や色合いが渋く落ち着いた雰囲気のものが根付いたそうです。東京手描友禅は、町人文化のわびさびの影響を受けていることから、主な文様としては「磯の松」「釣り船」「網干し」「千鳥」「葦」などの風景文様が特徴的ですが、近年では現代的なモダンなものも作られています。。1975年に伝統的工芸品に指定されました。

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写真提供/東京都工芸染色協同組合