薩摩絣/宮崎県

薩摩絣

読み・さつまがすり
産地・宮崎県都城市

薩摩絣は大島紬とほぼ同じ工程で制作されている綿織物。渋い味わいと精巧な絣模様が特徴的です。高級な着物を着尽くすと綿薩摩に行き着くといわれ、「綿のダイヤモンド」とも称されています。薩摩絣は、木綿の中でも一番細い糸(80番双糸)を使用し、高度な技術を有する熟練した織り手により、絹のような光沢と独特な風合いをもつ織物を作り上げています。歴史は1609年に遡り、薩摩藩が琉球王国を侵略したことで、租税として納めさせていた「琉球絣」を「薩摩絣」として全国展開していたことから、この名称が付いたといわれています。1736~1740年頃には、薩摩藩でも薩摩絣が織られるようになりましたが、徐々に衰退。そこで、1947年に締機の工法を完成させた永江伊栄温の三代目に当る東郷治秋と、薩摩絣の発明者である永江明夫の二人が工房「東郷織物」を創設。通常、絣(かすり)の工程は、大きく分けて「デザイン」「染色」「絣締め」「織布」の4つの分業制が一般的ですが、東郷織物ではその全ての工程を自社内での作業体制にこだわり、今では、唯一の薩摩絣の製造元として独創性あふれる着物をつくっています。

写真提供/東郷織物