東京染小紋
読み・とうきょうそめこもん
産地・東京都
東京で染められている型染の小紋。繊細で上品な伝統柄による単色染めの「江戸小紋」と、型紙を何枚も使って創作された「東京しゃれ小紋」の2つを総称して「東京染小紋」といいます。室町時代に発祥し、江戸時代に普及した型染めで、武士の裃に細かな模様が染められるようになってから、技術が発達したといわれています。江戸中期頃になると、町人文化の発展とともに、男女を問わず庶民の間でも親しまれるようになりますが、当時は贅沢を取り締まる奢侈禁止令がたびたび発令され、江戸小紋の豪華な柄も取り締まりの対象に。そこで考えられたのが、遠めに見れば無地に見えるほど細かい模様にする事でした。明治の初めに発布された断髪令や欧風化の影響により、男子の小紋の需要は大幅に減りましたが、女性の着物としての需要は増え続け、明治中頃には小紋に草花模様を描いた訪問着等ができ、女性の着物の華として今日まで親しまれています。1976年、伝統的工芸品に指定されました。