本場黄八丈/東京都

本場黄八丈

読み・ほんばきはちじょう
産地・東京都八丈島

豊かな自然に恵まれた島に自生、あるいは栽培された草木のみを使って染色する絹織物。光沢のあるしなやかな地と鮮やかな黄色が特徴的です。基本の色は、黄・茶・黒の三色あり、地色を黄色にすると「黄八丈」、茶色なら「鳶八丈」、黒だと「黒八丈」と呼びます。基本は三色ですが、媒染や糸の組み合わせ、織り方で多様な色を表現することも可能です。歴史は室町時代まで遡り、貢納品として絹織物が納められていた記録があります。
1515年に、北条氏が全島を支配したことにより、租税として上納されるようになりました。江戸前期に黄八丈を手にすることができたのは、将軍家や大名・御殿女中・豪商などの一部の人々に限られていたそうです。かつては黄色が主流だったことから黄八丈の名で親しまれましたが、現在は黒が大半を占めています。黒といっても藍色などを混ぜ合わせるほかの染色と異なり、椎木の色素のみで生み出された純粋な黒の色合いが魅力とされています。椎木の皮を煎じた汁で生糸を染めた後、脱水し、屋外で干す。この工程を約40回繰り返すことで、太陽光が織物に艶やかな光沢をもたらしています。八丈島の風土で育った草木特有の色を際立たせるため、無地、縞柄、格子柄など、意匠は極めてシンプルです。着るごとに生地が体になじんでくる着心地の良さをもちます。