世界遺産・二条城の通常非公開「香雲亭」で味わう期間限定の朝食【京都】|麗し着物日和 Vol.15

着物姿が映える名所・名店を訪ねる道中記。今回は、京都を代表する世界遺産・二条城。豪壮な唐門や国宝・二の丸御殿を巡るだけでも見応えがありますが、いつもとは少し違う二条城の楽しみ方を見つけました。通常は内部に入ることのできない「香雲亭」で、清流園を眺めながらいただく、期間限定の朝御膳(完全予約制、1日40名限定)。徳川の歴史が息づく城で、着物姿でゆっくりと朝食をいただく時間は、どこか「家康気分」。観光だけにとどまらない、少しディープな二条城へ出かけました。

徳川家の歴史を見つめてきた二条城

二条城の歴史は、徳川家康の時代に始まります。1601年、家康は西日本の諸大名に築城を命じ、1603年に現在の二の丸部分が完成。家康自身もこの年、初めて二条城へ入城しました。その後、三代将軍・家光の時代に大規模な改修が行われ、1626年には現在につながる規模へ。幕末の1867年には、十五代将軍・徳川慶喜が二の丸御殿で大政奉還の意思を表明するなど、徳川幕府の始まりから終焉まで、日本史の大きな転換点を見守ってきた城です。重厚な門をくぐり城内へ。広い敷地を着物で歩いていると、現代の京都にいながら、時折ふっと江戸の時間へ紛れ込んだような感覚になります。

通常は非公開の「香雲亭」へ

今回の目的地は、城内の北側に広がる「清流園」。1965年に造られた庭園で、西側には日本庭園、東側には洋風の芝庭が配された、和洋折衷の景観が広がっています。その一角に佇むのが「香雲亭」です。香雲亭は、京都の豪商として知られた角倉家の旧邸から移築された建物。通常は内部非公開で、普段の見学では南側から外観を眺めることしかできません。夏や冬など限られた時期に食事の提供が行われ、そのときだけ内部へ足を踏み入れることができます。
草履を脱ぎ、畳の座敷へ。大きく開かれた先には、手入れされた清流園の緑。城内を行き交う観光客の姿を庭園の向こうに眺めながら、予約した人だけがこの静かな席で朝の時間を過ごします。二条城を「歩いて見る」のとは、少し違う景色です。

清流園を眺め味わう「京のゆば粥御膳」

いただいたのは、『京料理いそべ』が手がける「京のゆば粥御膳」。中心となるのは、自家製のくみあげ湯葉を使った「ゆば粥」。籠盛りには出汁巻き玉子や幽庵焼き、海老旨煮などが並び、ゆば真丈やゆばのサラダ仕立てなどが添えられます。そして、楽しみのひとつが月替わりの「季節の逸品」。7月は「鱧おとし」、8月は「賀茂茄子しぎ焼き」、9月は「鮎の竜田揚げ」です。私が訪れた7月は、京都の夏を代表する味覚、鱧。白く美しく花開いた鱧を梅肉につけていただきながら庭園へ目を向けると、朝からなんとも優雅な気分になります。


そして、この特別な朝食体験が4,500円。通常非公開の空間に入り、清流園を眺めながら京料理を味わえることを考えると、京都旅の予定に組み込みたくなる体験です。期間は、2026年は7月15日から9月27日まで、各日40名限定で実施されています。

世界遺産・二条城で家康気分の朝食

食後は、再び城内へ。本丸御殿の南西には、かつて五重の天守が建っていました。1750年に落雷によって焼失し、現在残っているのは天守台の石垣のみ。石段を上れば、本丸御殿や本丸庭園、さらに京都市街を見渡すことができます。
着物姿で天守台に立ち、城を眺めてみる。そして少し前まで、庭園を前に朝御膳をいただいていたことを思い返すと――徳川の歴史が息づく二条城で、家康気分の朝ごはん。そんな遊び心もまた、旅の楽しさです。

二条城を着物で訪れたい理由

城郭、御殿、日本庭園。二条城には、着物という装いが自然に溶け込む風景がいくつもあります。けれど今回、着物で訪れて改めて感じたのは、思い出に残る”観光”にとどまりません。畳の座敷へ上がり、庭園を眺め、器を手に取る。歴史ある空間の中では、着物を纏うことそのものが体験の一部となりました。
この日は、夏の京都に合わせて寿光織の紋紗訪問着を選びました。風を含むような透け感のある夏着物と、青々とした草木に彩られた荘厳な二条城の風景。季節を装いに映しながら、その時季にしか出会えない景色を訪ねることも、着物旅ならではの楽しみです。

二条城を五感で愉しむ

世界遺産というと、名所を巡り、歴史ある建物を見学することを思い浮かべます。もちろん二条城も、唐門や二の丸御殿、本丸御殿、庭園など、歩いて巡るだけでも見どころの多い場所です。けれど今回体験したのは、その景色を「見る側」から、ほんの少しだけ「その時間を過ごす側」へと視点を変えてくれるものでした。
通常は非公開の香雲亭に上がり、畳の座敷に腰を下ろす。目の前に広がる清流園を眺めながら朝御膳をいただき、庭園の向こうを行き交う人々の姿を眺める。同じ二条城にいながら、城内を歩いているときとは、時間の流れ方まで違って感じられます。
食事を終えたあとは、再び城内へ。先ほどまで座敷から眺めていた風景の中を、今度は自分の足で歩いていく。「見る」「味わう」「歩く」と体験を重ねることで、二条城という場所が、単なる観光名所ではなく、ひとつの物語を持った空間として、より立体的に感じられました。観光だけにとどまらない、二条城。こんなディープな楽しみ方も京都旅の醍醐味といえます。

特別な朝食体験をゆったり楽しむために

香雲亭でいただく朝御膳は、9:15〜10:15の1時間。通常非公開の空間で楽しむ完全予約制の朝食だからこそ、当日は時間に余裕をもって向かいたいところです。二条城は敷地が広く、入城してから香雲亭までも少し歩きます。門をくぐればすぐに食事会場、というわけではないため、城内の移動時間も見込んでおくと安心です。食後に二の丸御殿や本丸御殿、庭園などを巡る予定なら、朝食だけでなく、その後の散策まで含めてスケジュールを組んでおくと、二条城をよりゆったり楽しめます。
また、夏の二条城は屋外を歩く時間も長くなります。日傘や扇子、飲み物などを用意し、暑さへの備えも忘れずに。限られた期間、限られた人数だけが味わえる朝のひととき。特別な時間を心地よくお楽しみください。

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二条城・香雲亭「京のゆば粥朝御膳」

期間|2026年7月15日(水)〜9月27日(日)
時間|9:15〜10:15
場所|元離宮二条城内 「香雲亭」
   京都市中京区二条通堀川西入二条城町541
料金|4,500円(税込)※別途、二条城入城料が必要
定員|各日40名限定・完全予約制
予約|希望日の前日15:00まで
予約・問い合わせ|京料理いそべ
TEL:075-551-1203(受付時間10:00〜15:00)
※支払いは現金のみ、キャンセルは3日前まで。
※予約状況により相席となる場合があります。