村山大島紬/東京

村山大島紬

読み・むらやまおおしまつむぎ
産地・東京都武蔵村山市

村山大島紬は、生糸を用いた織物で、青みがかった灰色の色味で、藍や独特の赤を用いたモダンなデザインが特徴の絹織物です。村山大島は先染した絹糸を手織りする紬絣で、全作業工程は手作業で行われ、細分化すると40工程にもなるといわれています。村山地方では、1688~1703年頃に縞模様の木綿織物が生産されるようになり、その後、さらに技術が発達していき、1804~1817年頃には「村山紺絣」と呼ばれる藍染の綿織物が織られるようになりました。この「村山紺絣」と、1596~1615年に開拓された砂川村で自家用として織られていた「砂川太織」が村山大島紬の前身と言われています。絹糸を泥染めするなど、手間のかかる大島紬に対し、村山大島紬は文様を彫刻した板で絣糸を染める板締め染色法を確立。大島紬と似た風合いながらリーズナブルな着物を生み出し、広く庶民に愛用されました。最大の特徴は、精巧な絣模様。男性物は絣模様が細かく、近くで見ると緻密、遠目には無地に見えることで、さり気ない趣味の良さを演出。一方、女性物はデザインが重視され、シックな模様や色合いは着る人の年齢を問いません。1967年に東京都指定無形文化財に、1975年に伝統的工芸品産業に、1982年に東京知事指定伝統工芸品に登録されました。