多摩織
読み・たまおり
産地・東京都八王子市
多摩織は、かつて桑の都と呼ばれた八王子でつくられている織物です。かつて八王子は、養蚕と製糸、織物業の一大産地として栄えた土地で、平安時代には絹織物が織られていたという記録が残っているといわれています。室町後期に、産業として奨励されたことで産地としての基盤が確立しました。特に明治時代以降は、文明開化によって急速に技術が向上しました。多摩織は、その八王子織物をルーツとする五つの織物<御召織(おめしおり)、風通織(ふうつうおり)、紬織(つむぎおり)、もじり織、変り綴>の総称であり、絹織物の多品種産地が育んできた多様な技法の集大成と称されます。染色した千二百本の生糸をずらして柄を織る「ずらし絣」は、幾何学的な絣柄に計算された変化を与える高度な技法である。ひと織りごとに両手両足を用いて織機を操作し、織り具合を微調整することで、手仕事ならではの自然な風合いが感じられます。1980年、多摩織は経済産業大臣より伝統的工芸品に指定されました。