伊予絣
読み・いよかすり
産地・愛媛県松山市
伊予絣とは木綿で平織りの先染めの絣織物です。縦糸と横糸でしっかりと織り込まれた布地は丈夫で、藍染の生地に映える絵柄は、井桁や十字、絵絣も特徴的です。福岡の「久留米絣」、広島の「備後絣」とともに日本三大絣の一つとされ、かつては庶民向けの着物として、広く国内で愛用されていました。伊予絣は、1801~1803年に、現在の松山市西垣生町付近にあたる今出の出身の鍵谷カナが、農家の藁屋根の葺き替え時に、竹の骨組みを縛り付けた跡のまだら模様に感動し、これを繊維に応用して織ったのがはじまりといわれています。明治時代には、織機の改良により機械化・量産化が進み、絣織物の生産量全国1位を誇るまでに成長。全国の絣織物のおおよそ半分を占めるようになりました。最盛期の生産量は年間200万反以上にものぼったそう。現在は、着物の需要が低下したことで、着尺の生産はごく少量となっています。