アットゥシ織/北海道

アットゥシ織

読み|あっとぅしおり
産地|北海道沙流郡平取町

アットゥシ織は、北海道に多く分布するオヒョウ(ニレ科)の木の内皮の繊維を利用して織られたアイヌ民族の織物で、100年以上前から沙流川地域に住むアイヌの人々によって受け継がれてきました。なかでも、主に平取町二風谷地区で継承されている伝統的な技法で作られたものを「二風谷アットゥ」といいます。繊維はやわらかく強靭。素朴な風合いが特徴で、アイヌ人の常用着でした。アットゥシ織の歴史は古く、アイヌ民族の織具は、弥生時代以前から使用されていたといわれています。水に強く、通気性に優れた天然繊維であるアットゥシは、100年前に使用されていた道具とほぼ同様の道具を現在も使用して作られており、糸に撚りをかけることも特徴と言われています。染色せずに織り上げ、アップリケや刺繍でアイヌの紋様が施されているのもポイントです。2013年、日高振興局管内沙流郡平取町二風谷で織られる「二風谷アットゥシ」が、北海道初の経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定されました。

アットゥシ織の第一人者・貝澤雪子さんの功績
昭和16年に北海道日高村で生まれた貝澤雪子さんは、長きに渡りアイヌの伝統的な手工芸の振興・発展に貢献してきた人物です。これまでに北海道アイヌ伝統工芸展などに出展した作品は多くの賞を受賞され、平成23年2月には北海道アイヌ協会より「優秀工芸師」として認定を受けました。伝統工芸品の製作を通して、アイヌ文化の伝承・保存と後継者の育成に取り組んでいます。