The Okura Tokyoで過ごす夕景と日本美の着物時間【東京】|麗し着物日和 Vol.14

The Okura Tokyo 41階「バーラウンジ スターライト」で、夕景を眺めながらカクテルを愉しむ薄紫の大島紬姿の女性  A woman in a pale purple Oshima tsumugi kimono enjoying a cocktail at sunset at Bar Lounge Starlight on the 41st floor of The Okura Tokyo

東京・虎ノ門に佇む「The Okura Tokyo」。館内には、ホテルオークラが創業以来大切にしてきた日本の美意識が、現代の建築と調和しながら息づいています。この日は着物でプレステージタワーを訪れ、メインロビーで寛いだのち、41階の「バーラウンジ スターライト」へ。東京の街を染める夕景を眺めながら、カクテルと軽食を愉しみました。敷地内には、日本と東洋の古美術を収蔵する大倉集古館もあります。建築、美術、装いが静かにつながる、着物で訪れたい虎ノ門の過ごし方をご紹介します。

The Okura Tokyoに息づく日本の美意識

The Okura Tokyoのプレステージタワーで、まず目を奪われるのが、静けさと気品に満ちたメインロビーです。ホテルオークラの前身となる本館ロビーを設計したのは、20世紀の日本を代表する建築家・谷口吉郎。日本の伝統的な感覚と西洋のモダニズムを融合させた空間は、日本モダニズム建築を象徴する存在として親しまれてきました。現在のロビーを手がけたのは、その息子である谷口吉生。父が生み出した美学を受け継ぎながら、現代のホテルにふさわしい空間へと再構築しています。

余白と光が生み出す静謐なロビー

ロビーに配された丸テーブルと椅子は、梅の花を表現したもの。家具を過度に置かず、あえて余白を残すことで、落ち着きのある和の空間が生み出されています。天井から吊るされた「オークラ・ランターン」は、古墳時代の水晶玉の装飾品から着想を得た意匠。自然光と柔らかな照明が重なり、時間とともに異なる陰影を描きます。館内には、富本憲吉がデザインし、西陣の龍村美術織物が制作した「四弁花文様」の壁面装飾など、日本の工芸文化につながる意匠も。ホテルでありながら、美術館を巡るような愉しさを感じられる空間です。

着物が映えるThe Okura Tokyo

The Okura Tokyoが着物で訪れたい場所なのは、館内に和の意匠があるからだけではありません。素材、光、陰影、余白を大切にする空間の美意識が、着物の佇まいとよく似ているからです。着物もまた、直線的で簡潔な形の中に、織りや染め、文様、帯との取り合わせによって豊かな表情を宿します。自然光やオークラ・ランターンの柔らかな灯りの中では、着物の色や柄も、場所ごとに異なる表情を見せてくれます。ホテルだからといって、必ずしも訪問着や付け下げである必要はありません。バーでカクテルを愉しむなら、大島紬や御召、小紋などの洒落着でも十分。色や柄、帯まわりを整えることで、カジュアルな装いにもエレガントな印象を添えられます。建築や工芸を味わいながら、着物で静かに過ごす。The Okura Tokyoは、装いと空間の調和を愉しめるホテルです。

最上階のバー&ラウンジで愉しむ夕景

館内を巡った後は、プレステージタワーのトップフロア、41階にある「バーラウンジ スターライト」へ。大きな窓の向こうには、東京の街並みが広がります。この日は夕暮れの時間に訪れ、鮮やかなカクテルと軽食をいただきました。青かった空は、次第に淡い橙色へ。夕陽が高層ビルの窓や室内の壁に映り込み、刻々と景色を変えていきます。

The Okura Tokyo 41階「バーラウンジ スターライト」の窓辺に置かれた、夕景に映える鮮やかな赤いカクテル  A vivid red cocktail by the window at Bar Lounge Starlight on the 41st floor of The Okura Tokyo, illuminated by the sunset.

窓辺でグラスを傾けながら、空の色が移ろう様子を眺める時間は、ランチやアフタヌーンティーとはまた異なる大人の愉しみ。華やかでありながら落ち着きがあり、着物で過ごす夕暮れによく似合います。日が傾くにつれて、着物の薄紫にも茜色の光が重なり、深みのある色合いを見せてくれました。

都喜ヱ門の「美術大島」を纏う

The Okura Tokyoの窓辺で、薄紫の都喜ヱ門の大島紬と吉祥文の名古屋帯を纏い、東京の景色を眺める女性  A woman wearing a pale purple Tokiemon Oshima tsumugi kimono with a Nagoya obi featuring auspicious motifs, looking out over Tokyo at The Okura Tokyo

この日選んだのは、「美術大島」の名で知られる、鹿児島・藤絹織物の都喜ヱ門。薄紫の地には、空へ羽ばたく鳥の姿が織り表されています。大島紬らしい端正さを持ちながら、やわらかな色彩と伸びやかな意匠が、装いにエレガントな印象を添える一枚です。帯は、さまざまな吉祥文をあしらった名古屋帯。白を基調とした帯が薄紫の着物に明るさを加え、深い緑の帯締めで全体を引き締めました。
大島紬に名古屋帯という取り合わせは、格としてはカジュアルです。けれど、着物と帯の色調を整え、品のある意匠を選ぶことで、ホテルの空間にもなじむ装いにまとめることができます。格式の高さだけに頼らず、色、柄、素材の調和によってエレガントに装うことも、着物の奥深い愉しみです。

併設された美術館へ文化散策

夜のライトアップに浮かび上がる大倉集古館の外観。The Okura Tokyoの敷地内に建つ、日本最古の私立美術館
The illuminated exterior of the Okura Museum of Art at night, Japan’s oldest private museum located within the grounds of The Okura Tokyo

The Okura Tokyoの敷地の一角には、大倉集古館があります。大倉集古館は、大倉財閥の創始者であり、日本とアジアの古美術を収集した大倉喜八郎によって、1917年に創設された私立美術館です。国宝や重要文化財を含む約2500件の美術品を収蔵し、日本と東洋の美術を伝えています。印象的な外観も美しく、ホテルの現代的な和の空間とは異なる趣を見せてくれます。また、着物(和装)で来館すると、入館料が300円引きになる特典も設けられています。大倉集古館で古美術に触れた後にホテルで過ごす、あるいはホテルを訪れた後に展覧会へ向かう。美術と建築をゆっくり味わう一日は、着物での文化散策にもぴったりです。

日本美と夕景に包まれる着物時間

The Okura Tokyoには、目を引く華やかさだけではなく、光や陰影、余白、素材の質感に目を向けて初めて分かる豊かさがあります。それは、織りや染め、文様の細部を味わう着物の美しさにも通じるものです。ロビーをゆっくりと巡り、工芸の意匠に触れ、41階のスターライトで夕景を眺める。そして大倉集古館で、日本と東洋の美術に出会う。慌ただしく名所を巡るのではなく、建築、美術、装いを静かに味わう一日。The Okura Tokyoは、着物とともに日本の美意識を愉しむのにふさわしい場所でした。

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The Okura Tokyo

東京都港区虎ノ門2-10-4
TEL:03-3582-0111
大倉集古館
・開館時間:10:00〜17:00(最終入館16:30)
・休館日:月曜日(休日の場合は翌平日)、
     展示替期間、年末
・着物で来館の場合:入館料300円引き
※開館日、入館料、展覧会の詳細は公式サイトでご確認ください。
▶︎ ホテル公式サイト

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