宮古上布
読み・みやこじょうふ
産地・沖縄県宮古島
宮古上布は、沖縄県の宮古島で生産されている麻織物の最高級品で、越後上布や近江上布と並ぶ日本の三大上布の一つです。代表的な宮古上布の地色は、濃い紺色で、その上に藍色や白色の模様が入っています。ロウを引いたようななめらかで独特の光沢感は、「砧打ち(きぬたうち)」という布をまんべんなく木製のハンマーで叩く仕上げの工程によって生まれています。宮古上布の由来は1583年に遡ります。琉球の進貢船が台風に遭い、乗り合わせていた宮古の洲鎌与人・真栄という男が荒れ狂う海に飛び込み、船の故障をなおして乗組員全員の命を救いました。その功績を讃え、琉球王より特別な役職が任命されました。喜んだ妻の稲石が、感謝の気持ちを込めて麻織物を献上。この麻織物と同じ技術で生産されたのが、宮古上布と呼ばれるようになったといわれています。その後、江戸時代には貢納布として薩摩藩に宮古上布を納めるようになり、八重山上布と共に「薩摩上布」として江戸などに送られ全国に流通していきました。宮古上布の生産量は大正から1937年頃までが隆盛期で、年間生産量は1万反を越えていたこともありました。全工程を手作業で行っていることなどから、1978年には重要無形文化財に指定され、2003年には苧麻の糸を績む技術が国選定保存技術に指定されました。
写真提供/宮古織物事業協同組合