松阪木綿
読み・まつさかもめん
産地・三重県松坂市
松阪木綿は、天然藍の先染め糸を使って織り成す縞柄が特徴な綿織物です。江戸初期頃から生産されるようになり、江戸に進出した松阪商人によって松阪もめん(当時は伊勢木綿、もしくは勢州木綿と呼ばれた)が大流行しました。特に、日本橋大伝馬町一丁目には、伊勢国出身の木綿問屋が集まり、歌川広重の錦絵にもその様子が描かれています。当時、江戸では、倹約令によって華美な着物を堂々と着られなくなっていたところでしたので、遠目から見ると無地のように見えて近づいてみると、様々な縞柄模様が粋でおしゃれだとして、江戸っ子を魅了しました。なお、松坂木綿の特徴的な縦縞の柄は、現在のベトナムにあたる安南から渡ってきた「柳条布(りゅうじょうふ)」という、文字通り柳の葉の葉脈のように細い縞柄の綿布が起源だといわれています。明治時代になると、海外から安価な布が輸入されるようになった影響を受け、また、その後の生活様式の洋装化などで衰退していきました。