京友禅/京都府

京友禅

読み・きょうゆうぜん
産地・京都府京都市、宇治市、亀岡市、城陽市、向日市


金銀箔や刺繍が用いられ、多色で優美なデザインが特徴の友禅染。「加賀友禅」や「東京友禅」とともに日本三大友禅といわれています。染色技法は8世紀に伝わりましたが、京友禅は、1688~1703年に京都の扇絵師の宮崎友禅斎によって確立されたと伝わっています。友禅の名称は宮崎友禅斎の名前がもとになっています。色彩豊かで絵画のように緻密な模様を着物に染める友禅染は、江戸時代中期に最盛し、人気は全国的に広まりました。明治時代には、あざやかで色数の多い化学染料が輸入され、手描友禅の名匠であった広瀬治助によって型紙を用いて友禅模様を染める「写し友禅」(現在の「型友禅」)が考案され、大量生産が可能になりました。京友禅は、工程は多いものでは14工程もあり、すべて高度な技術を要する専業分業化されて作られます。

京手描友禅の工程

「企画・考案」
構想を練り、模様と色彩の配置、バランスを考えて意匠図案を考案します。この時に生地の選択も行います。

「下書き」
露草の花からとった青花液で、白生地に薄く図案を描きアウトラインをとります。その後、濃い青汁液で模様や細かい部分を正確に描いていきます。

「ゴム糸目」
下絵(図案)に沿ってゴム糊を置き、挿し友禅の際に染料が他ににじまないようにします。柿渋を和紙に塗って固めた筒の中に入れ、絵に沿って絞りだして置いていきます。

「伏糊」
生地を染める際、模様の部分に色が入るのを防ぐため、糸目糊で囲んだ後、挿友禅で染めるところに糊をムラなく置いていき、その上に挽粉(ひきこ)をふりかけていきます。

「引染」
生地に染料液を刷毛で均一に、またはぼかして染めていきます。

「蒸し」
友禅染と引染された染料液を生地に定着させ、完全な発色を促すため、蒸し箱に入れ約100℃の蒸気で20~50分蒸します。

「水元」
生地に残った余分な染料、薬剤や糊を完全に洗い落とすため、しっかり洗い流していきます。

「手挿友禅」
色彩感覚と創造性が必要になる工程です。筆と刷毛を使い、絵模様部分に染料などで染色していきます。

「蒸し」
染色液を定着させるため、再度蒸しを行います。

「水元」
生地に残った余分な染料、薬剤や糊を完全に落とすために大量の水で洗い流します。

「金彩」
染め上がった生地に金箔を接着加工していきます。

「手刺繍」
絹糸・金糸・銀糸を使い、「京縫い」と呼ばれる技法で、美しい彩りと豪華さを添えていきます。