藤布/京都府

藤布

読み・ふじふ
産地・京都府丹後地方

藤布は、京都府の丹後地方で生産されている藤の蔓を細く剥いで糸を作り織り上げた織物。藤布は日本の古代織物のひとつで、ほかに科布や葛布があります。縄文時代を起源に日本最古の織物として伝えられている藤布は、万葉集でも詠まれており、通気性がよく夏の織物として適しています。藤は山野に広く分布していた植物だったので、手軽な繊維素材として日本各地で織られていましたが、木綿の普及により急激に衰退していきました。しかし、材料や道具まで昔ながらの手法にこだわり、糸をつくり織り上げる技術は丹後地方で今も受け継がれています。

自然と共存し紡ぎつづける「藤布」
藤布は1本の蔓からとれる繊維はわずか5g。1日かけて績むことのでき る糸は20~30グラム程度しかありません。採集、皮を剥ぐ作業、灰汁炊き、川水での洗い流し、乾燥と、織る作業に至るまでの段階で多くの手間をかけ、一本の糸が生まれています。

藤布