綾の手紬
読み・あやのてつむぎ
産地・宮崎県東諸県郡綾町
綾の手紬は、繭からの糸紡ぎから染色、織りまですべての工程を昔ながらの手作業で行っている織物。色調の美しさと絹の光沢、着崩れしにくい着心地の良さが特徴です。歴史は浅く、1966年に秋山眞和により創製されました。大正時代に秋山の父が沖縄で染織業を興しましたが、戦争により宮崎県へ疎開。宮崎ならではの織物をつくるため、昔ながらの技法を追求し綾の手紬が誕生しました。室町時代に確立した天然のアルカリ性水溶液を用い、バクテリアの力で水溶性の藍にする「天然灰汁発酵建て技法による藍染め」や、古代の紫「大和貝紫染め」の復元、糸を浮かせて模様を織り成す「花織」など、伝統的な技法がふんだんに用いられています。2020年、日本の伝統を継承しながら未来につながるものづくりに真摯に取り組み、更に発展させている伝統工芸の担い手に贈られる「三井ゴールデン匠賞」のグランプリを受賞。