米沢織(米沢紬)/山形県

米沢織(米沢紬)

読み・よねざわおり(よねざわつむぎ)
産地・山形県米沢市

米沢織(米沢紬)は、紅花など自然から作り出された染料だけを使って染めた素朴な味わいが特徴の絹織物です。米沢織(米沢紬)の生産は、米沢藩第9代藩主上杉鷹山が、藩政改革の一環として紬の生産を推し進めたことから始まりと伝えられ、養蚕業と絹織物業を奨励し、財政を建て直したといわれています。米沢織(米沢紬)は、先染めといわれる手法でつくられています。布地を染料で染めるのではなく、織られる前の糸の段階で染めるため、柔らかく優しい風合いを作り出すことができます。紬糸・玉糸を平織にするのが基本で、つややかで美しい絣模様が特色です。無地一色だけではなく、格子や間道、よろけなど多色多様な紋様があり、先に染織された糸を一本一本組み合わせて紋様を織っていくことで、後染にはない、織り物独特の味わいをもっている点も魅力です。

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米沢紬を代表する「紅花紬」の美しさ
染色に紅花を用いた優しい印象をもつ紅花紬は、紅系の色を中心に黄色・オレンジ色などの縞柄や格子柄などがあり、渋い色柄が多い紬の中では優しく華やか。紬特有の素朴な味わいの中に優しく上品な雰囲気をもつことから、年齢を問わず、幅広く愛用されています。江戸時代、紅は高級な口紅の原料として米沢藩の財政を支えていました。紅花の色素の99%は黄色で、紅色はわずか1%のため、1反の着物を染め上げるためには、90万輪もの花が必要でした。その希少性から、当時の価値は、米の100倍、金の10倍だったといわれています。紅花紬は、紅系の色を中心に、黄色、オレンジなどの縞柄や格子柄があり、柔らかく華やかな印象をもちます。紅花で染色された糸は、太陽光線によって薄く柔らかいピンク色に発色しますが、気温や湿度などの条件で色が変化するのも特徴です。

米沢織
写真提供/米沢繊維協議会