牛首紬/石川県

牛首紬

読み・うしくびつむぎ
産地・石川県白山市

絹のしっとりと上品な光沢と野趣に富んだ節が、素朴な美しさを醸し出し、釘に引っ掛けても釘を貫くほど丈夫なため“釘貫紬(くぎぬきつむぎ)”とも呼ばれる丈夫さも兼ね備えた牛首紬。繭全体の2~3%ほどしか取れない貴重な「玉繭」を使った贅沢な織物です。繊維が複雑に絡み合っているからこそ丈夫で、節が演出する立体感と風合いが魅力です。白峰(旧牛首村)一帯では、古くから養蚕、製糸、機織りの技が伝えられ、繭や生糸や紬の生産が行われていました。江戸末期には玉繭や屑繭から手で紡いで織った素朴な紬が京都などで知られるようになり、やがて全国に「牛首紬」の名で親しまれていきました。大正時代に最盛期を迎えた牛首紬でしたが、経済不況で激減し、現在は2軒の織元が牛首紬を守り続けています。現在も村人により昔ながらの技術が伝承され、その製法技術は石川県の無形文化財に指定されています。

関連記事「伝統工芸探訪vol.4 牛首紬/白山工房」

白山工房