奈良晒/奈良県

奈良晒

読み・ならざらし
産地・奈良県奈良市

奈良晒は、麻織物を白く晒しあげた高級麻織物。麻を原料とし、手積み、手紡糸で糸を作り、昔ながらの手織機で織り上げた「生平(きびら)」を、数回の晒し工程を経て真白く晒し上げて仕上げています。肌ざわりが良く、汗をよくはじくのが特徴です。この地域では古くから麻織物が生産されており、起源については明らかではありませんが、1549年には「多聞院日記」で晒の関係記事が書かれており、室町時代後期には既に苧麻を用いた麻織が生産されていたという記録が残っています。主に武士の裃や僧侶の法衣として用いられた。また、千利休がかつて「茶巾は白くて新しいものがよい」と語ったことから、茶巾としての需要もあったといわれています。良質で純白の美しさから江戸時代には、幕府の御用達品として用いられていました。最盛期は享保年間(1716~1735年)で、「麻の最上は南都なり」と称されるほど奈良髄一の産業へと発展しました。しかし、明治維新後は需要が激減し、現在では伝統工芸の分野として小規模生産されています。